ブータンの「石風呂」「ピュアハニー」「バターマッサージ」に癒やされる!
ブータンの「石風呂」「ピュアハニー」「バターマッサージ」に癒やされる!

ブータンの「石風呂」「ピュアハニー」「バターマッサージ」に癒やされる!

私が書きました! イラストエッセイスト 松鳥むう 離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上、訪れた日本の島は102島。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコト

離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上、訪れた日本の島は102島。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島かいてーばん』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島かいてーばん』(スタンダーズ)、『ちょこ旅瀬戸内』(アスペクト)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『あちこち島ごはん』(芳文社)、『おばあちゃんとわたし』(方丈社)、『島好き最後の聖地 トカラ列島 秘境さんぽ』(西日本出版社)。最新刊は初監修本『初めてのひとり旅』(エイ出版社)。 http://muu-m.com/

ブータンの石風呂・ドツォ

はて? この光景、どこかで見た覚えがあるぞ……と、脳内の引き出しをあれやこれやと引っ張り開けてみる。そうだ! 新潟県の小さな離島・粟島の“わっぱ煮”や、秋田の“石焼鍋”の調理法と、とても似ているのだ。“わっぱ煮”も“石焼鍋”も魚などの具材と味噌と水を入れたわっぱの中に、あっつあつに熱した石を放り込むコトで温めて食べる。木の器しかなかった時代、それでも出先で温かいごはんを食べようと思った先人の知恵のなんと素晴らしいコトよ。そのお風呂バージョンが“ドツォ”だ。

ドツォの湯舟は、庭に建てらた小さな小屋の中にあった。屋根も壁もあるが、壁の下の方には隙間があり、入口は布のカーテンだけなので半露天風呂状態だ。民泊でお世話になっているこの3日間、シャワーも浴びてなかったので、ほっかほかの湯に入れるなんて、ありがたいコトこの上なし! しかも、なんと、ヨモギ入り! 腰痛、背部痛、頭痛と三拍子揃いぶみの私には、何にでも効能があるヨモギのマルチパワーにかなりの希望を託す。

「湯加減、どうですかー? 」ガイドのプブさんが小屋の向こうから声をかけてくれる。外では、家の男性陣と関さんとガイドさんたちが、何やら楽しげに話しをしながら、追加用の石を薪で焼いてくれている。タンチェ村の夜は8月下旬と言えどもフリースを羽織りたい肌寒さだ。足元の隙間から入って来る冷たい空気が、時々、肌で感じられる。でも、焼き石を突っ込んだ風呂の湯自体は、想像していたより温かかった。日本人は、なぜこんなにも湯の中に身を浸けるコトを好み、かつ、幸せを感じるのだろうか? だが、しかし、ヨモギ湯に入ったからと言って、すぐに痛みがなくなるなどと言う夢のような魔法は、いくら神秘的な国・ブータンでも起こらなかった。

魔法の薬!? ブータンのピュアハニー

村の少し高い位置にあるこの家からは、夜の谷の景色がぼんやりと見える。灯りと言えば、各家の灯りがチラホラと見える程度だ。外のウッドデッキに置いてある椅子で、相変わらず死んでいる私に、ガイドさんが一杯の飲み物を持って来てくれた。「コレ飲んだら、楽になるから!」と。それは、たっぷりの蜂蜜を湯で溶かしたものだった。夜風にあたりつつ、ブランケットに包まりながら、ゆっくりと口に含む。「……んんっ!?」思わず、マグカップの中を覗きこんだ。私の知ってる蜂蜜の味じゃない! 身体が弱ってるから? はたまた丸一日何も食べてないからだろうか? 甘さよりも、なんとも香ばしくて深みのある味わいが口の中に広がっていく。

恐るべし! バターマッサージの威力!

それでも、頭痛までは完全に取り除けない。私は意を決して、ガイドさんと家のお父さんに懇願してみた。 「昨夜、お父さんが家族みんなにやってもらってたバターマッサージを私にもしてもらえませんか?」 昨晩、就寝前にチラッと見てしまったのだ。咳が止まらないお父さんが、上半身裸になって居間の中央に座り、奥さんや娘さんたち、はたまた孫たちが代わる代わるお父さんの背中をマッサージしている様子を。プブさんに「バターマッサージ」だと教えてもらった。バター? バターってマッサージに使えるものなの? 食べ物のイメージしかないのだけれど……。長年の背部痛のため、日本で色んなマッサージに首を突っ込んでは、毎度効かないなぁと落胆続きの私。初めて耳にするマッサージ名に、興味がむくむくと。また、後の旅程を考えると、道の悪い中での長距離車移動やトレッキングもあるので、少しでも痛みをなんとかしておきたいのである。藁にもすがる想いだ。

特別なマッサージ方法でもなんでもなく、ただ何度も何度も、ゆっくりと力を少し込めつつ背中を撫でてくれる。小さな子どもがお腹が痛い時、母親に撫でてもらうようなそんな感じ(力はちょっぴり強め)。驚いたのは、お父さんの手の温かさだ。ホッカイロで撫でてもらってるのかと思うほど、撫でてもらう度にポカポカ度が増しに増し、痛い背中がどんどん温かくなっていく。バターもベタつくのかと思いきや、皮膚にスッと染み込んで、肌がサラサラのツルツルに。そして、更に驚愕すべきはマッサージ終了後。「はい、終わり」と、お父さんの手が私の背中を離れたとたん、あんなに酷かった背部痛と頭痛がどっかに消えてしまったのだ。「!!!??? 」色んなマッサージを体験して来たけれど、終わったとたんに、こんなに身体が軽くなったコトは初めてだ。なんたるゴッドハンド! 恐るべし、純粋バターの威力!! 「半分くらいの病気は、このバターマッサージで治ってしまうんですよ」と、お父さん。

データ

今回のブータンツアーの主催者 関健作 (カメラマン) https://www.kensakuseki-photoworks.com/

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