『ギルガメッシュないと』が生んだスター
『日本エロ本全史』『日本AV全史』など、この国の近現代史の重要な裏面を追った著書を多く持つアダルトメディア研究家・安田理央による最新連載。前世紀最後のディケイド:90年代、それは以前の80年代とも、また以後到来した21世紀とも明らかに何かが...
90年代で最も印象深く語られるテレビのお色気番組と言えば、やはりテレビ東京の『ギルガメッシュないと』ということになるのだろう。日本のお色気番組の歴史を総括した『【昭和・平成】お色気番組グラフィティ』(佐野亨・編 河出書房新社 2014年)でも、「九〇年代のお色気番組の中でも未だに多くのファンに語り継がれ、あらゆる伝説を残した名番組といえば『ギルガメッシュないと』だ」「思春期真っ只中の中高生男児をはじめ、若年男性の間で人気を博した」「深夜ニ五時過ぎからの放送にもかかわらず九・四パーセントという最高視聴率を叩き出す快挙を成し遂げた」と重要視され、2022年には動画配信サービス「Paravi」で『ギルガメッシュないと』の制作の裏側をモデルにした連続ドラマ『ギルガメッシュFIGHT』まで作られている。
「情報」から「お色気」への路線変更
この提案を聞いた社長は「レギュラー出演であれば」という条件を付け、『ギルガメッシュないと』の1コーナー「GNNヒップライン」への出演が決まったという。産経新聞1994年1月6日付東京夕刊の「志高くカメラは低く セクシーアイドル続出 ギルガメ旋風」という記事で、プロデューサーの工藤忠義が当時の状況を語っている。
岩本恭生さん、細川ふみえちゃんのレギュラーでスタートした番組で、ふみえちゃんは、あまりお色気過剰なセリフをいっても似合わないので、それにふさわしいタレントを探していたところ、アダルトビデオの人気者・飯島愛ちゃんがクローズアップされました。局の中にはAVに出演したタレントは、レギュラーにしてはいけないと反対する人もいましたが、その愛くるしい容姿と頭の回転のよさは魅力的でした。 (産経新聞 1995年3月11日付東京夕刊)
声優、そして「芸能人」へ
6月には、ビデオオリジナルアニメ『妖獣戦線 アドベンチャーKID』(ムーフィルム 7月21日発売)で声優に初挑戦。ヒロイン、みどりの役を担当した。『妖獣戦線』は、『うらつき童子』で知られる漫画家・前田俊夫の同名作品のアニメ化で、海外でも発売された。そのアフレコ風景は取材陣に公開され、「FLASH」などの雑誌で取り上げられた。
(前略)彼氏の目前で犯されて、泣きわめきつつも次第にヨガっていくとゆ~難しい演技に、百戦錬磨の愛クンも四苦八苦……。「いやァ、思っていた以上に難しくって。画面もエッチでしょ、ワタシのやってるようなのは(AVだと)モザイクでカットされるけど、アニメはリアルだから恥ずかしかった。バイブそっくりのオチンチン見たら、うわァって言いそうになっちゃった」(中略)「アニメのミドリちゃんってコは、凄く清純でカワイイ女のコなんですね。だから映像とワタシを照らし合わせないで、可憐なミドリちゃんでヌイていただいてもいいし……主人公になりきって本気でワタシも声を出してるワケですから、あ、愛チャンはアソコをこ~されるとこ~ゆ~声を出すのか……ってカブせて聴いていただいても面白いんじゃないかと(笑)」 (「FLASH」 1992年6月16日号)
【お知らせ】当連載を収録した書籍『飯島愛のいた時代』 が待望の書籍化! 全国書店やAmazonなどの通販サイトで、2026年1月22日(木)より発売いたします。
飯島愛のいた時代 - 太田出版 90年代、それは20世紀の最後に居心地悪く挟まっている特異な時代。その真っ只中、「飯島愛」という名と共に突如現れ、瞬く間に人々から圧倒的な支持を得ながら、21世. 安田理央著. www.ohtabooks.com 筆者について 安田理央やすだ・りお 。1967年埼玉県生まれ。ライター、アダルトメディア研究家。美学校考現学研究室卒。主にアダルト産業をテーマに執筆。特にエロとデジタルメディアの関わりや、アダルトメディアの歴史の研究をライフワークとしている。 AV監督やカメラマン、漫画原作者、イベント司会者などとしても活動。主な著書に『痴女の誕生―アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか』『巨乳の誕 生―大きなおっぱいはどう呼ばれてきたのか』、『日本エロ本全史』 (以上、太田出版)、『AV女優、のち』(KADOKAWA)、『ヘアヌードの誕生 芸術と猥褻のはざまで陰毛は揺れる』(イーストプレス)、『日本AV全史』(ケンエレブックス)、『エロメディア大全』(三才ブックス)などがある。
https://ohtabookstand.com/writer/yasuda-rio/ https://ohtabookstand.com/writer/yasuda-rio/ 2025年7月21日 https://ohtabookstand.com/writer/yasuda-rio/ https://ohtabookstand.com/writer/yasuda-rio/ 2025年6月16日- 第0回 : はじめにー90年代に何が起きていたか
- 第1回 : “ノスタルジックで清楚な美少女”ー初期の飯島愛
- 第2回 : 1992年は飯島愛の年だった
- 第3回 : ランキングから消える飯島愛の「変化」
- 第4回 : 「AV業界」との複雑な関係
- 第5回 : 『ギルガメッシュないと』が生んだスター
- 第6回 : 期待される「キャラ」と「役割」
- 第7回 : 「ライバル」たち、そして東大五月祭事件
- 第8回 : 自衛隊との「共演」、そして「テレビCM」へ
- 第9回 : 飯島愛と“ギャル”の誕生
- 第10回 : 「外見と違って、実はちゃんとしている」という物語
- 第11回 : CGアーティストという「夢」
- 第12回 : 引退と卒業、評価と中傷
- 第13回 : 20世紀最後のベストセラー、『プラトニック・セックス』
- 第14回 : 同構造の「純愛」物語――”ケータイ小説”と『プラトニック・セックス』
- 第15回 : フロム・サイレンスーー残された1枚のアルバム
- 第16回 : 「正直、飽きた」
- 第17回 : 唐突な引退
- 第18回 : 束の間のセカンド・キャリア
- 第19回 : 語り続けられる“死”
- 最終回 : 裸のホスピタル
- 第0回 : はじめにー90年代に何が起きていたか
- 第1回 : “ノスタルジックで清楚な美少女”ー初期の飯島愛
- 第2回 : 1992年は飯島愛の年だった
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- 第5回 : 『ギルガメッシュないと』が生んだスター
- 第6回 : 期待される「キャラ」と「役割」
- 第7回 : 「ライバル」たち、そして東大五月祭事件
- 第8回 : 自衛隊との「共演」、そして「テレビCM」へ
- 第9回 : 飯島愛と“ギャル”の誕生
- 第10回 : 「外見と違って、実はちゃんとしている」という物語
- 第11回 : CGアーティストという「夢」
- 第12回 : 引退と卒業、評価と中傷
- 第13回 : 20世紀最後のベストセラー、『プラトニック・セックス』
- 第14回 : 同構造の「純愛」物語――”ケータイ小説”と『プラトニック・セックス』
- 第15回 : フロム・サイレンスーー残された1枚のアルバム
- 第16回 : 「正直、飽きた」
- 第17回 : 唐突な引退
- 第18回 : 束の間のセカンド・キャリア
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