オペラ解説:モーツァルト「魔笛」ストーリー(あらすじ)
stand.fmによる音声配信の文字起こしです。聴きながら読むと分かりやすい! 音声はこちら↓こんにちは!テノール歌手の髙梨英次郎です。本日もオペラを解説して参ります。オペラって面白いですよ!モーツァルト作曲オペラ「魔笛」の内容とストーリー...
蛇というのはユダヤ教の聖書において、イブをそそのかして (知恵の実を食べるようイブに促して) 人間に原罪をもたらした邪悪な存在として捉えられています。「魔笛」のストーリーやキャラクターの一つ一つに何か宗教的・象徴的な別の意味が込められているかどうかは、モーツァルトたちに聞いてみないと分かりませんが、少なくとも王子タミーノに危機が迫っていることは確かです。ト書きには、”弓を持っているが矢はない”とあり、矢を打ち尽くしてしまったのか、そもそも持っていなかったのか…。「神々よ、お救いください!」と、ひとしきり歌ったタミーノは気絶してしまいます。
Image of Pan Flute
Image of Papageno
Image of Tamino
Image of The Night Queen
ここから5人は妙に教訓じみたフレーズを歌います。「嘘つきにはこの錠前をつけよう! 憎しみ、悪口、腹黒い気持ちの代わりに 愛と友好を!」
Image of The Magic Flute
Image of Magic Bells
Image of Monostatos
Image of Pamina
Image of The Speaker
Image of Sarastro’s appearance
そんなザラストロの前に、自ら進み出てひざまずくパミーナ。「私は掟を破った者となりました。 でも私の罪ではなく、モノスタトスが無理矢理に私から愛を得ようとしたからです!」ザラストロは穏やかに応えます。「立ちなさい。そなたの心はよくわかっている。 そなたは”別の男”を愛しているのだな。 そなたに愛を強いることはしないが、自由を与えることもしない。」
ザラストロは司祭たちに問いかけます。「20歳の王子タミーノが、試練を受けて夜の闇を取り払い光を得ることを欲している。 彼は徳を持ち、口も堅く慈悲深い。 タミーノに試練を受ける資格があると思う者は賛成の意を示してほしい。」
Image of The Two Priests
そして祭司二人によるテノールとバスの二重唱が歌われます(Nr.11)。「女性の罠に気をつけよ! 多くの賢者も騙される。 死と絶望が報いとなるのだ!」
祭司たちが去ってタミーノとパパゲーノだけになったところに、夜の女王に仕える3人の侍女たちがやって来ます。ここから、第1幕と対を成すかのような五重唱となります(Nr.12)。「ちょっと、何?どういうこと? あなたたちなぜこんな恐ろしい場所にいるの? ここじゃ決して幸せになれないわよ。 タミーノ、あなたには死が近づいているわ パパゲーノ、あんたもおしまいね!」「いやちょっと待って、そりゃひどいよ!」「黙っていろ、パパゲーノ!」
女王はパミーナへ語り掛けます。「お前の父さんが死んだとき、私も力を失った。 あなたの父親は、7つの光輪をすすんでザラストロ教の信者たちに渡したのよ。 ザラストロはその強大な太陽の輪を身に着けている。 あなたの父親は死ぬ前に言った。 ”その光の輪は、聖なる者がつけるべきものだ。ザラストロは、私がしてきたようにしっかりと世を治めてくれるだろう。 お前の義務は、自分と娘を賢者の導きに委ねることだ”」
Image of The Night Queen 2
しかし夜の女王は違います。光、および昼の象徴であるところのザラストロやその教団は、夜の象徴である自分を破滅させようとしている。そう考えている女王は、パミーナに自ら研いだ短剣を渡し、これでザラストロを亡き者にせよ!と命じます。そしてかの有名なアリア、”地獄の復讐がわが心に燃え”を歌います(Nr.14)。「魔笛」のナンバーのうちでも1,2を争う有名曲。High F(ものすごく高いファの音)を何度も要求される難易度Super Hardモードのアリアです。歌い終わると女王はその場を去ります。
Image of Sarastro
Image of 3 Boys
Image of Papagena
Image of The Two Armed Men
あまりに絶望したパパゲーノは、どこからか縄を持ってきて、そこにあった木にひっかけて首をくくろうと決心します。「いや、最後に3つ数えてみよう!3になったら、もう俺の人生を終わらせよう。 いち… に… ……さん…。」やはり誰からも応答はありません。「何も起きない。誰も止めてくれない。 それじゃ、おやすみ、イヤな世の中の皆さん!」
そこへ3人の童子たちが駆け込んできます!「やめなよパパゲーノ!人生は一度きりだよ!! その魔法の鈴を鳴らしてごらんよ!!」「俺ってバカだな、鈴があるのを忘れてた! さあ、魔法の鈴よ!あの可愛い娘を連れてきてくれ!!」チャーミングな鈴の音が鳴らされ、パパゲーノが後ろを振り返ると、そこに…
そしてそこにはザラストロ、タミーノ、パミーナ、群衆たちが全員揃い、ザラストロが歌い出します。「太陽の光が夜の闇を払う、偽善者たちの見せかけの力を砕く」そして全員の合唱となります。「聖なる存在となった者たちよ、万歳! 君たちは夜を突き抜けたのだ。 イシスとオシリスに感謝を! 美と英知に永遠の王冠を!!」
松田 聡「モーツァルトのオペラ 全21作品の解説」
西川尚生「モーツァルト (作曲家 人と作品シリーズ)」
スタンダード・オペラ鑑賞ブック [3]「ドイツ・オペラ 上」
ヨアヒム・カイザー 「モーツァルトオペラ人物事典」(小野寿美子 片岡律子 瀬戸井厚子・訳)
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