ロッシーニ 『ウィリアム・テル』 名盤レビュー
歌劇『ウィリアム・テル』(William tell, Guillaume Tell)はジョキアーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini, 1792~1868)のオペラの中でもかなり大作のオペラです。その最初に …
1. 「夜明け」(アンダンテ)チェロのソロから始まり、アルプスの夜明けを壮大に描きます。チェロのソロは5人でコントラバス等も入り、チェロを中心とした少人数のアンサンブルとなっています。2. 「あらし」(アレグロ)突然、大きな嵐が襲ってきます。ロッシーニ・クレッシェンドのあと、トゥッティとなります。3. 「静けさ」(アンダンテ)やがて嵐は収まり、オーボエのソロで、牧歌が吹奏されます。4. 「終曲」(アレグロ・ヴィヴァーチェ)ファンファーレが響き渡り、スイスの軍楽隊の勇壮な行進を描いています。
フルート×1, ピッコロ×1, オーボエ×2, コールアングレ, クラリネット×2, ファゴット×2ホルン×4, トランペット×2, トロンボーン×3ティンパニ×1, シンバル, トライアングル, バスドラム弦楽5部
お薦めの名盤レビュー
アバド=ヨーロッパ室内管弦楽団指揮 クラウディオ・アバド 演奏 ヨーロッパ室内管弦楽団
ロッシーニの序曲集と言えば、やはり イタリア人でロッシーニを得意としていたクラウディオ・アバドが最初に来ますね 。ヨーロッパ室内管弦楽団はアバドが創設したのですが、まるでロッシーニを演奏するためのオーケストラで、軽快なサウンドが特徴です。
その結果、アバドのロッシーニは非常にリズミカルでスリリングになりました。 オーケストラの限界近くの速いスピードで演奏することで、スリリングさを得ているのです。そのため、どうしても不安定でレコーディングだからといって、丁寧に演奏するとスリリングさがなくなってしまいます。そんな訳で、アバドのロッシーニで名盤を探すのは案外難しいんです。
ロンドン交響楽団とのディスクもありますが、こちらはオーケストラのキャラクターの問題なのか、ちょっと重いです。DVDでは、昔、ベルリンフィルのサマーコンサートで「イタリアン・ナイト」があって、これがとても素晴らしいコンサートでした。ただ野外コンサートなので、ノイズが多いです。部分的にYouTubeにあったので、ページの上のほうに貼ってあります。
パッパーノ=サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団指揮 アントニオ・パッパーノ 演奏 サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団
アントニオ・パッパーノはイタリア系イギリス人で、オケもイタリアのオーケストラです。この曲の場合、オーケストラの機能がモノを言うので、いくら有名曲とは言え、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団がどんな演奏をしてくれるのかに、かかってますね。
聴いてみると、 パッパーノの指揮は自然体のロッシーニで、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団は味のある響き を出しています。「夜明け」のチェロのアンサンブルがこんなに楽しめる演奏は他に無いかも知れません。「静けさ」は牧歌の雰囲気が良く出ています。「終曲」は、さすがにいい演奏でした。ベルリンフィルのように金管がバリバリの爆演という訳には行きませんが、 とてもキビキビした演奏でイタリア的な軽快さ があり、聴いていて十分満足できるレヴェルです。
ライナー=シカゴ交響楽団指揮 フリッツ・ライナー 演奏 シカゴ交響楽団
ライナーとシカゴ交響楽団の演奏は、とてもダイナミックレンジが広いです。録音もしっかりしています。
「夜明け」は、ゆったりと始まります。スイス的な雄大さとは少し違う気もします。その辺りはトスカニーニに似ていて、本質は捕らえ切れていないのかも知れません。「嵐」はかなり強烈で、スケールが大きいです。シカゴ響の金管は余裕が感じられますけれど。その後また「静けさ」で小さくなります。 「終曲」はトランペットのファンファーレが決まっています。かなり速いテンポでやっぱり爆演ですね。
ムーティ=フィルハーモニア管弦楽団リッカルド・ムーティは若いころはフィラデルフィア管弦楽団などで活躍しましたが、その後、ミラノ・スカラ座の指揮者になり、そのキャリアを積み上げています。ムーティもなかなかのロッシーニ指揮者です。
アバドに比べると安定した演奏ですが、 ムーティもとてもリズムのセンスに優れていることと、筋肉質な演奏 で、ロッシーニやヴェルディを得意としています。劇場でヴェルディをやらせたら敵なしですね。
カラヤン=ベルリン・フィル指揮 ヘルベルト・フォン・カラヤン 演奏 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
カラヤンは、華麗すぎたり細かいリズムを一緒にレガートにしてしまうことが多いのですが、『ウィリアム・テル』序曲は、 しっかりした素晴らしい演奏 です。アバド盤は付点リズムを詰めたり、と校訂したスコアを使っていますが、楽譜通りの演奏が欲しい人にはお薦めです。特に 終曲の行進曲はベルリン・フィルの金管が全開で、これぞ、ウィリアムテル、イメージ通りの名盤 です。定番というに相応しいですね。
「夜明け」は、カラヤンらしく思い切りレガートを掛けたチェロから始まります。「嵐」はとてもいい演奏で、ベルリンフィルが鳴り切っています。「静けさ」はロッシーニらしからぬ、ルバートが入ります。そして「終曲」は述べた通りのダイナミックな名演です。
リープライヒ=ミュンヘン室内管弦楽団指揮 アレクサンダー・リープライヒ 演奏 ミュンヘン室内管弦楽団
モダン楽器によるピリオド奏法のロッシーニ序曲集です。編成は当時のものだと思います。ピリオド奏法ですが、ヴィブラートが弱めなくらいで、そこまで特別なことはしていないように聴こえます。
いずれにせよリープライヒはロッシーニ指揮者なので、軽快でとても良い演奏です。ただ、モダンな演奏に比べると落ち着いている感じがします。「終曲」もテンポが遅めで音量も少ないですね。トスカニーニのようにビシビシ行進していく訳でもないです。なので、悪い演奏では無いのですが迫力には不足しています。当時の演奏はこんな感じだったかも知れません。でも、当時の聴衆にとっては、刺激的な音楽だったでしょうね。
トスカニーニ=NBC交響楽団指揮 アルトゥーロ・トスカニーニ 演奏 NBC交響楽団
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ムーティ=ミラノ・スカラ座指揮 リッカルド・ムーティ 演奏 ミラノ・スカラ座
ムーティ=ミラノ・スカラ座はかなり気合の入ったもので、 クオリティが高い上演 です。1988年収録なので、画像はその時代のレヴェルですが、キャストの豪華さなどが凄いのです。歌劇『ウィリアム・テル』は、カットされて上演されることが多かったのですが、このDVDでは滅多にない全曲上演ということで、ムーティもスカラ座も気合が入っています。本来はフランス語で上演するのですが、イタリア語で上演しています。
ですが、演出のロンコーニが舞台上のスクリーンにスイスの光景を映し出すという、意欲的な演出をしたのですが、これが賛否両論でした。折角、オペラを見に来たのに映画みたいです。実際は、背景なのでそこまで賛否両論になることだろうか?と思いますが、当時としてはモダンな演出だったのでしょう。
パッパーノ=ロイヤル・オペラ指揮 アントニオ・パッパーノ 演奏 ロイヤル・オペラ
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