【菜の花や月は東に日は西に】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!
【菜の花や月は東に日は西に】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!

【菜の花や月は東に日は西に】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!

リズムよく口ずさみやすい俳句は、親しみやすくもあり、追求していくと果てしなく奥の深い文学です。 そもそも俳句は江戸時代には俳諧と呼ばれており、江戸の俳諧師の中でも「松尾芭蕉」「小林一茶」「与謝

四季折々の美しさや読み手の心情を表現する「俳句」の世界。 五・七・五の十七音という限られた文字数で、情緒や風景を伝えるという広がりを持った表現が魅力です。 名句を残した俳人といえば、「江戸の三大俳人」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 今回はその内の一人・をご紹介します。 与謝蕪.

季語

この句の季語は 「菜の花」 、季節は 「春」 です。

fa-arrow-circle-right

しかし、この句は「菜の花」感動の中心を表す切れ字「や」が用いられているため、「月」の方ではなく「菜の花」の方に感動の力点が置かれているととらえ、 「菜の花」が季語 となります。

意味

こちらの句を 現代語訳 すると・・・

「一面、菜の花が咲いているよ。ちょうど月が東から登ってきて、太陽は西に沈んでいくところだ。」

「日は西に」=太陽が沈んでいく光景が描かれていることから、 夕刻の景 ということがわかります。

しかし、この句が詠まれたのは 旧暦1774年3月23日(新暦では5月3日頃) とされていますが、それでは月齢が合いません。

菜の花が咲き、満月に近い月が出る日付は 旧暦の3月10日から15日頃 となり、おそらくこの時期に見た風景を詠んだためと考えられています。

この句が生まれた背景

この句は、安永 5 年( 1776 年)に刊行された続明烏という句集に 「春興二十六句」という連句の発句として詠まれた句 としておさめられています。

与謝蕪村の高弟、高井几董の「宿の日記」という本によると、この句は 安永 3 年( 1774 年) 3 月 23 日に詠まれたもの だと書かれています。

与謝蕪村、弟子の高井几董、親交のあった俳人・三浦樗良の 3 人が句会をもよおし、この「菜の花や」が発句となった「春興二十六句」という連句を 3 人で詠みあったと言われています。

このころ 蕪村は60歳手前、円熟期を迎えていたころの作 です。

「菜の花や月は東に日は西に」の表現技法

こちらの句で用いられている 表現技法 は・・・

切れ字「や」(初切れ)

この句の「菜の花や」部分に「や」が初句に使われており、初句で切れているため 、「初句切れ」 の句となります。

「や」は初句に使われることが多く、 感動の中心を表す言葉 ですが、「けり」に比べると軽めの印象を持たせます。また、「や」には俳句らしい調子を生み出す効果もあります。

「月は東に」と「日は西に」の対句法

対句法とは、 二つの対立するもの、または類似するものを構成やリズム対応させながら、対にして並べる表現技法 です。

この句では「月は東に」と「日は西に」という言葉が並立され、 「東にのぼる月」と「西に沈む日」 という壮大なものが対になっています。

省略法

文章の中の言葉を省き、読み手に推測させることで 余韻を残す表現技法 です。

この句の「月は東に日は西に」とは、「月は東の空にのぼりつつあり、日は西の空に沈みつつある」ということですが、 「のぼる」「沈む」という言葉を省略し、余韻を残しています。

【豆知識】「月は東に日は西に」というフレーズ

「月は東に日は西に」というフレーズ自体は、 昔から詩人たちによって既に使われていました。

「白日淪西阿 素月出東嶺(白日西阿に淪み、素月東嶺に出づ)」

「草緑霜已白 日西月復東(草は緑にして霜は已に白く、日は西にして月は復た東なり)」

「東の 野にかぎろひの 立つ見えて 顧みすれば 月傾きぬ」

「月は東に昴は西に いとし殿御は真ん中に」

このように 「月は東に日は西に」 というフレーズは、昔からたくさん詩人によって既に使われていたことがわかります。

「菜の花や月は東に日は西に」の鑑賞文

と色彩感にあふれています。 スケールが大きく、また絵画的な句 となっています。

目の前の日常の光景からふと目をあげて空を仰ぐと広がるのは深遠な宇宙。 果てしなく雄大な句 です。

また、「月は東に日は西に」というフレーズは昔から多く使われていると述べましたが、この句の秀逸なところは 「菜の花や」と初句で切ることで一面に広がる菜の花畑を主題にしている点 です。

「や」という切れ字で菜の花を強調することによって、 独自の風景を描き出すことに成功 しています。

「山もと遠く 鷺(さぎ)かすみ行く」

という 春の情景を詠んだもの です。

「菜の花や月は東に日は西に」が詠まれた場所

この句はどこの光景かというと、与謝蕪村はこの句を 兵庫六甲の摩耶山を訪れた時に見た光景として詠んでいる と言われています。

摩耶山とは、現在の 神戸市灘区にある山 で、山頂には忉利天上寺(とうりてんじょうじ)、通称天上寺という真言宗の古刹があります。この寺は、平安時代の僧侶空海がお釈迦様の母、摩耶夫人の像をお祀りしたという由緒のある寺です。

作者「与謝蕪村」の生涯を簡単に紹介!

与謝蕪村は、 1716 年から 1784 年を生きた俳人であり、画家でもあります。本名を谷口信章といいます。

摂津国、現在の大阪府の生まれですが、 20歳くらいのころ江戸に下り、俳諧を学ぶようになります。

写実的で絵画のような俳句 を得意とし、また俳句を書き添えた絵、俳画を始めたのも与謝蕪村です。

与謝蕪村のそのほかの俳句

【夏の終わりの俳句 30選】おすすめ季語はこれ!!上手い一般オリジナル俳句作品を紹介! 【高野素十の有名俳句 20選】ホトトギスの四Sのひとり!!俳句の特徴や人物像・代表作など徹底解説! 【炎天の遠き帆やわがこころの帆】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!! 【銀閣寺の俳句 20選】春夏秋冬!!京都旅行の前後で詠みたくなる有名&俳句ネタ集! 【暗黒や関東平野に火事一つ】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞・作者など徹底解説!! 【別れ&旅立ちを詠んだ俳句 30選】春・夏・秋!!俳人有名句&一般俳句作品を紹介 【五月雨の有名俳句 30選】知っておきたい!!季語を含んだおすすめ俳句を紹介! 【小学生向け】星の俳句 30選!!春夏秋冬の季語を使ったいろんな俳句ネタを紹介 【中村汀女の有名俳句 36選】春夏秋冬!!俳句の特徴や人物像・代表作など徹底解説! 【ひまわりの俳句 40選】中学生向け!!季語「向日葵」を使った俳句作品集を紹介! 【友情&友達をテーマにした俳句集 30選】小学生・中学生向け!!参考になる俳句ネタを紹介! 【春雷や胸の上なる夜の厚み】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!
  • 【海に出て木枯らし帰るところなし】俳句の季語や意味・表現技法・鑑賞文・作者など徹底解説!!
  • 【秋深き隣は何をする人ぞ】俳句の季語や意味・場所(何県)・表現技法・作者など徹底解説!!
プライバシーポリシー 【姉妹サイト】短歌の教科書
  • 1 「菜の花や月は東に日は西に」の作者や季語・意味
    • 1.1 季語
    • 1.2 意味
    • 1.3 この句が生まれた背景
    • 2.1 切れ字「や」(初切れ)
    • 2.2 「月は東に」と「日は西に」の対句法
    • 2.3 省略法
    • 2.4 【豆知識】「月は東に日は西に」というフレーズ

    俳句の教科書 All Rights Reserved.