平家物語「木曾の最期」原文と現代語訳・解説・問題|高校古典
鎌倉時代に書かれた平家物語(へいけものがたり)。作者などは詳しくわかっていませんが、日本を代表する軍記物語となっています。今回はそんな高校古典の教科書にも出てくる平家物語の中から「木曾の最期(きそのさいご)」について詳しく解説していきます。...
「お体もまだお疲れになっておりません。 お馬も弱っておりません。 どうして、一領の御鎧を重くお思いになることがありましょうか。 それは味方に御軍勢がありませんので、気後れでそうお思いになるのです。 兼平一人が(付き従って)おりましても、他の武者千騎(がいるの)とお思いください。 矢が七、八本ございますから、しばらく防ぎ矢をいたしましょう。 あそこに見えます、粟津の松原と申す、あの松の中で御自害なさいませ。」
「武士はどんなに長い間どんなに軍功がありましても、最期の時に思わぬ失敗をいたしますと、末代までの不名誉となってしまいます。 お体はお疲れになっていらっしゃいます。 あとに続く軍勢はございません。 敵に隔てられ(離れ離れになって)、取るに足りない人の家来に組み落とされなさって、お討たれになりましたら、 『あれほど日本国で有名でいらっしゃった木曾殿を、誰それの家来がお討ち申しあげた。』などと申すようなことが残念でございます。 ただあの松原へお入りください。」
と言って、射残してあった八本の矢を、次々に手早く弦につがえて、容赦なく射る。 (矢の当たった相手の)生死はわからないが、たちまちに敵八騎を射落とす。 その後太刀を抜いて、あちらに馬を駆って敵にあたり、こちらに馬を駆って敵にあたり、切って回るが、正面から立ち向かう者がいない。 敵の命をたくさん奪ったのであった。 (そこで敵は)ただ、
平家物語「木曾の最期」の単語・語句解説 [聞こゆる] 有名な[大音声] 大声。
[昔は聞きけんものを] 名乗りをあげるときに自分を誇示する決まり文句。
[をめいて] わめいて。
[あますな] 一人残らず討ち取れ。
[若党] 若い家来。
[疾う疾う] 早く早く。
[いづち] どこ。
[自害をせんずれば] 自害をしようと思っているので。
[しかるべからず] よろしくない。
[のたまひけれども] おっしゃったけれども。
[はたらかさず] 身動きせず。
[捨ててんげり] 捨ててしまった。
[御身] お体。
[疲れさせ給はず] お疲れになっておりません。
[弱り候はず] 弱っておりません。
[思しめし候ふべき] お思いになることがありましょうか。
[防ぎ矢つかまつらん] 防ぎ矢をいたしましょう。
[高名] 手柄。
[不覚しつれば] 思わぬ失敗をしてしまうと。
[続く候はず] あとに続く(味方の)軍勢はございません。
[言ふかひなき] 取るに足りない。
[郎等] 家来。
[さらば] それならば。
[生年] 生まれてからの年。年齢。
[さる者あり] そういう者がいる。
[知ろしめされたるらんぞ] ご存知であるだろうぞ。
[見参に入れよ] ご覧に入れよ。
[やにはに] その場ですぐ。ただちに。
[あまた] たくさん。
[手も負はず] 傷も負わず。
[深田] 底の深い泥田。
[聞こえさせ給ひつる] 有名でいらっしゃった。
*「木曾の最期」でテストによく出る問題○問題:「縦様・横様・蜘蛛手・十文字(*1)」とは何を表しているか。 答え:敵の中を縦横無尽に駆け回って奮戦する様子。
○問題:「さ(*2)」とは何を表しているか。 答え:義仲が鎧を重たく感じた事。
○問題:「いかにもなるべかりつる(*3)」とはどういう事か。 答え:討ち死にするはずであったということ。