フレンケル体操 失調症
フレンケル体操 失調症

フレンケル体操 失調症

この記事では、失調症に対するリハビリ(理学療法・作業療法)の一手段として活用される『フレンケル体操』について解説している。フレンケル体操とはフレンケル体操(Frenkel'sexercises)は、1887年にフレンケル(FrenkelHS)が開発した体操である。フレンケルは脊髄癆(せきずいろう)患者を検査している際に、指-鼻テストが不良であることに気付いた。しかし、1カ月後の再検査でその患者の協調性は著明に改善していた。なぜ協調性は改善していたのだろうか?後日談として以下のことが分かった。患者

フレンケル体操は視覚のフィードバックと運動学習を基本としている。

もともとは脊髄癆による感覚障害性の運動失調に対して考案されたものである。

脊髄癆による脊髄後索の病変により深部感覚入力が減少し運動が拙劣になることに対して、視覚を用いて代償的にフィードバック能力を高め、協調性を改善しようとする。

運動学習の基本である簡単な課題から複雑な課題への課題の難易度の調整、運動の反復を重視している。感覚障害性の運動失調のみでなく協調性運動障害全般に対する運動療法として行われているが、練習した課題の協調性は改善するが他の動作への転移に問題があるとされる。

フレンケル体操の実際

臥位でのフレンケル体操
  • 踵をマットにつけ、踵を滑らすように一側側下肢を屈伸する。
  • 踵をマットにつけ、膝屈曲位で踵を滑らすように股関節を内外転する。
  • 一側下肢全体をマットにつけ、膝伸展位で股関節を内外転する。
  • 踵をマットから浮かして、下肢を屈伸する。
  • 一側の踵を対側の膝に乗せ、足部と膝の間踵を滑らすように往復する。
  • 踵をマットにつけ、踵を滑らすように両側の下肢を屈伸する。
  • 一側下肢を屈曲しながら、対側下肢を伸展する。
  • 一側側下肢を屈伸しながら、対側下肢を内外転する。

上記は全て「 表面が滑らかで、足の滑りやすい治療台」 「 上半身をバックレストまたは高い枕で十分持ち上げて背臥位(運動を視認するため)」

※例えば以下のイラスト ①は視覚情報を十分利用 し、 ②は視覚情報を減じた状態での運動

座位でのフレンケル体操
  • セラピストの手に足部を乗せる(位置を1回ごとに変える)
  • 下肢を上げ、床に描いた足形の位置に足部を移動する
支持物を用いた「椅子からの起立・着座体操」 立位・歩行によるフレンケル体操
  • 体重を左右に移動する(立位でのフレンケル体操)。
  • 2本の平行線の間から足が出ないように歩く。

フレンケル体操を動画で紹介

フレンケル体操における「難易度調整」

フレンケル体操における「難易度著調整のポイント」

運動の複雑性(優しい動作より始める):

脊髄性運動失調など固有感覚低下による協調運動障害においては、視覚代償などを用い、はじめはゆっくり正確に運動を行い、徐々にスピードを速めていくことが一般的。 小脳性運動失調の場合は、ゆっくりとした運動は逆に困難であることが多いため運動のスピードには調整が必要である。

障害の軽い側より始める:

フレンケル体操の注意点

  • 正常可動域範囲内で運動を行う: 深部感覚のみの低下が多く、筋力は低下しない場合が多い 激しい運動で関節可動域の範囲を超える場合がある
  • 転倒予防: 下肢に失調があるものには十分注意する。 立位歩行訓練を平行棒外で行う際には理学療法士・作業療法士などが必ず横につく。

フレンケル体操の現在

フレンケル体操について:

現在において、フレンケル訓練そのものが使われる機会は少ないが、その運動や動作訓練方法や手順などに関する厳密性、患者自身の主体的参加などは日常の運動療法の基礎として、協調性の改善を目的とする概念は十分存在している。

[星文彦:フレンケル体操の再考.理学療法18:694-699,2001][武富由雄:理学療法のルーツその継承と新たな創造のために.メディカルプレス. pp.144-145,1997]

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