出雲族(いずもぞく)とは?
出雲族(いずもぞく)とは?

出雲族(いずもぞく)とは?

出雲族とは、どういう種族なのでしょう。どこの地域に住んでいたのでしょう。

綏靖天皇 神渟名川耳天皇

神渟名川耳天皇は神武天皇の第三子である。母を媛蹈韛五十鈴媛命という。事代主神の長女である。

安寧天皇 磯城津彦玉手看天皇

磯城津彦玉手看天皇は、神渟名川耳天皇の嫡子である。母を五十鈴依媛命という。事代主神の次女である。

懿徳天皇 大日本彦耜友天皇

大日本彦耜友天皇は、安寧天皇の第二子である。母を渟名底仲媛命という。事代主神の孫─鴨王(かものきみ)の女(むすめ)である。

宇治谷 猛 訳『日本書紀(上)』 講談社文庫111~114頁(※ 太字は、私)

つまりは、 事代主神は初期天皇家の皇后の祖先 ということです。

鴨都波(かもつば)神社 奈良県御所市宮前町51 現在の祭神は、積羽八重事代主命・下照姫命で、建御名方命を配祀する。

『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』とは

大和国の「神別」の所に、大国主命や事代主命が登場します。地祇は国つ神のことです。

天神 飛鳥直 天事代主命之後也

地祇 大神朝臣 素佐能雄命六世孫大国主之後也

地祇 賀茂朝臣 大国主神之後也

地祇 和仁古 大国主六世孫阿太賀田須命之後也

地祇 長柄首 天乃八重事代主神之後也

国々の枠を超えて元々分布していると考えれば自然 ですが、あんな田舎の島根県からやってきたという考え方をする人もいます。あまり出雲国と結びつけて、出雲族を位置づけるとよけい混乱します。

また様々な氏族が婚姻関係によって親戚になっているので、 純血たる出雲族など存在しない といった方がいいのかもしれません。

スサノオノミコトは、出雲族の始祖か?

出雲族は蛇信仰の種族

出雲族は、『古事記』『日本書紀』では、 蛇信仰の種族 として描かれています。

例えば、奈良の三輪山の神が蛇であったり、ホムチワケの話では、出雲の姫が蛇に化身したりします。

その蛇を奉斎する出雲族の初代王が蛇を切るということがあるのか? と、 宗教における矛盾 を感じます。

スサノオノミコトの八岐大蛇退治 ①斐伊川の治水事業を行なった説②砂鉄から製鉄(野だたら)の起原神話説③出雲族成敗説

八岐大蛇は越(こし)から、やってくる設定になっていますが、ここから蘇我氏成敗説(越は蘇我氏の強い地域)を唱える方もおられます。

私は出雲国に住む神門臣成敗説ではないかと思っています。

またスサノオノミコトは、富家伝承本には、 尾張氏の祖ホアカリの命、物部氏の祖ニギハヤヒの命をモデルとした神 であって、実際は大国主命や事代主命と同じ時代の人物でもあり、初代出雲王がスサノオノミコトに入れ替えられたと書かれています。 ※富家は 出雲大社の元上官家。

そればかりではなく、『先代旧事本紀』などを見ると、尾張氏や物部氏は大己貴命の一族と初めから血縁関係があり、上記⑤番の使い方がありうるのです。 詳しくは⇒火明命と出雲族

古代史では、氏族の関係を、固定的に敵ならずっと敵と固定的に考える傾向が強いですが、時代によって、敵であったり味方であったりするのです。

出雲族はどこから来たか

戦後の通説

戦後の史学において、出雲族はまるで朝鮮半島からの渡来民族であるかのように書かれていました。

“一書(第四)にいう。素戔嗚尊の行ないがひどかった。

そこで神々が、千座(ちくら)の置戸(おきど)の罪を科せられて追放された。

このとき素戔嗚尊は、その子五十猛神(いそたけるのかみ)をひきいて、新羅(しらぎ)の国に降られて、曾尸茂梨(そしもり)(ソホル即ち都の意か)のところにおいでになった。

そこで不服の言葉をいはれて、「この地には私は居たくないのだ」と。ついに土で船を造り舟を造り、それに乗って東の方に渡り、出雲の国の簸の川の上流にある、鳥上の山についた。…後略・・・”

“一書(第五)にいう。素戔嗚尊がいわれるのに、「韓郷(からくに)の島には金銀がある。

もしわが子の治める国に、舟がなかったらよくないだろう。・・・後略・・・”

宇治谷 猛 全現代語訳 『日本書紀 上』 講談社学術文庫

そして、もし素戔嗚尊が、出雲族の始祖でないとすると、また別の話になります。

「出雲人」のDNA

斎藤成也著『日本人の源流』(河出書房新社)という各地の日本人のDNA解析をした本があります。

前提として、この出雲人というのは、古代の出雲族を意味しません。現代の出雲市出身者ならび出雲市周辺に住む人達を出雲人として解析しておられます。

出雲が含まれる山陰地方は、地理的に朝鮮半島に近いので、人々のDNAも関東地方の人々より大陸の人々に近くなるのではないかと予想していたいたのだが、そうではなかった。

わずかではあるが、むしろ関東地方のヤマト人のほうが、出雲地方のヤマト人よりも、大陸の人々に遺伝的には近かったのである。

斎藤成也『日本人の源流』(河出書房新社)

こうなるとますます、中国地方に含まれる 出雲と東北との遺伝的関連性 が強まってくる。

現代東北人はエミシの子孫であり、エミシはアイヌ人の祖先集団が東北から北海道に移ったあとにひろがったと考えられる。

ということは、エミシと出雲はつながっていることになるのではないか。

斎藤成也『日本人の源流』(河出書房新社)

また都道府県別のミトコンドリアDNAの主成分分析を見ると、 沖縄県人のミトコンドリア頻度パターンが島根県人に類似 していてびっくりします。

縄文系を含むかもしれない M7系統の頻度 である。

全国平均14パーセントだが、沖縄県、宮崎県、長崎県、島根県、青森県では頻度が20パーセントを越えている。

斎藤成也『日本人の源流』(河出書房新社)

仮に出雲族が 縄文人の子孫だと仮定すると、後から渡来してきた種族でない ことになります。

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posted with ヨメレバ 斎藤 成也 河出書房新社 2023年03月07日 夕暮れのKAKAをフォローする

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男性 島根県出雲市で生まれ育ち、島根県松江市に住んでいます。 歴史の世界ではではあまり注目されない氏族伝承や民俗学の記事を中心に書いていきます。